僕がN.E.YERSを始めたのは2009年頃のことだったと記憶している。当時の僕は「北原亜稀人」として小説を書きながらいくつかの賞に細々と入選をし、とても収益化には程遠いながらも小説家としての活動を本格化し始めていた頃だった。だから、おそらく心の奥底で「小説家」という事業一本足でやっていくのは自分には無理だ、と思っていたのだと我が事ながら他人事のように想起するのである。当時のN.E.YERSが行っていたのは自費出版であったりインディーズでのバンド活動、そういった資金力に乏しいアーティストの側方支援であり、ウェブサイト等インターネット分野でのお手伝いをさせていただいていた。目の付け所自体は今でもそれほど悪いとは思っていなくて、誰かに委託してウェブでの活動を行うほどの予算はない、そういう方々が格安で利用できるサービスは、おそらく今でもある程度需要はあると思う。だが一方でこのビジネスはそもそも資金力のない層を相手にする商売なので価格設定が難しく、また、低予算であるが故に受注した側としてもそれを外注することがほぼ不可能という、ゆとりの全くないビジネス設計であるから、関係者各位の予想通り、そう長いことは続かなかった。
ではなぜ今になってN.E.YERSを再開したのか。当然ながら当時と同じビジネスを展開するつもりは全くなくて、メインテーマを自身(北原亜稀人)の個人事務所とした。また、同時にN.E.YERS、これは「まだ終わっていない人々」という意味合いで当時命名したのだけれど、そのコンセプトにもう一度立ち返って自らのものづくりを進めていきたいと思ったのが動機の中心である。僕自身、結婚をし、子供ができた。環境が変わって、なおのこと思うのだ。まだだ、まだ、何も終わっていない、と。
N.E.YERSの祖業でもあるインディーズアーティストとの関わり、その宣伝等側方支援については姿を変えて2026年1月から再開をする予定でいる。僕が経営する別の法人、クルーズの1事業として自費出版事業を開始する。それに合わせて現在のN.E.YERSの表題につけているBooks,magazines and cars、この名称に相応しい活動を展開していくつもりである。
今年の正月ごろに、15年前に立ち止まった物語の再開をテーマに再始動したN.E.YERS新生、その第二弾、まもなく走り始めます。